国志夢走

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「ティール組織=正解」ではない

先日高野山のお寺で宿坊をするという一風変わったインターンに参加してきた。そこで扱ったトピックの一つにティール組織があった。そこで考えたことを元に、最近話題のティール組織について書くことにする。

 

目次 

ティール組織とは

・よくある誤解

・仏教視点×ティール組織 

ティール組織が機能する条件

・日本社会への応用と障壁

・これからの組織と個人

 

 

ティール組織とは

 

 

ティール組織とは約四年前に出版された『Reinventing Organizations』で登場した組織モデルのことである。フレデリック・ラルー氏が提唱した。

著書では、組織モデルの発展段階とティール組織を実際に構築している組織が成果を出していると言う事例の紹介をしている。

 

では組織モデルはどのように発展してきて、その発展段階の中では最終系に当たるティール組織とはどのような特徴を持った組織なのかを解説していく。

 

 

 

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下から順に組織の発展が発展してきたと述べられている。ちなみにTealも含め全て色の名前である。自身が所属している組織はどの組織モデルだろうか?と想像しながら読んでみてほしい。

 

 

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 レッド組織はサル山をイメージしてもらえるとわかりやすいだろう。

一番強いボスザルが山の一番上で踏ん反り返っている。完全な力による支配が行われている組織のことである。強いリーダーに依存する形で付き従う構図が取られる。

自己中心的で、短期的な損得で動きがちになる。

 

 

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暴力といった力ではなく、権力や階級制度によって統治されている組織である。

長期戦略を立てることができるようになる。自己ではなく集団の範囲までを関心領域に広げることができる。

多くの軍隊や公的機関の組織構造がこれで、基準やルールの遵守が求められる。柔軟性に乏しい。

 

 

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組織の目的は社会的な成功に拡大している。目標達成のためにより効率的に動こうという組織体制であり、柔軟性を持って目標達成に迎える一方で、人材も歯車の1つとして捉えるため人間味が薄い。出世レースなど競争を通した実力主義な組織。

 

急成長する企業で多い組織形態であり、事業の成長のうらに人間関係の軽視がみられる構造になっている。

 

 

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組織風土や理念といった独自の文化を形成し始めるのがグリーン組織である。目標を達成するといった何をなすかも大事だが、どうありたいかといったあり方にまで関心は及ぶ。組織はより家族的な意味合いを持ってきて、オレンジ組織に比べて人間味のある集団へと進化していく。

 

達成力やスピード感に欠ける点もあり、どの場合においてもオレンジ組織よりも良いというわけでは無い。

 

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生命体の組織とも呼ばれている。ティール組織においては役職といった上下関係は存在せず、対等な関係性が築かれている。

合意形成のプロセスもなく、各々が自分の意思に基づいて課題を解決していく。

行動規範や文化といったある種の拘束がなく、自由度がかなり高い組織になる。もはや組織とは言えないかもしれない。

その自由が高い分、個々人が責任を持った行動ができる必要がある。

 

以上で簡単ではあるがそれぞれの組織についての説明を終える。

 

よくある誤解

 

ティール組織が流行るにつれて誤解も増えているように思う。ここではされがちな誤解を解いていき、正しい理解を促していく。

 

まず、アメーバ組織とは全然別物だということ。ティールは生命体のような組織であるという表現から、アメーバって生命体だよな。あ、アメーバ組織、アメーバ経営ってティールと関係あるのか。という勘違いのされ方をしているようだ。

 

アメーバ組織とは、階層化された組織構造を確定化せず、状況に応じて人事異動やタスクフォースを敷くなどして対応する組織のことである。なので基本的な構造がオレンジであり、構造や人の入れ替えの柔軟性を高めた体制である。誤解のないように理解しておこう。

 

 

次に、ティール組織がどの組織においても理想の組織像であるという誤解だ。

 

ティール組織はもはや組織ではなく共同体やコミュニティに近い。

だから、全ての組織がティールを目指すことは正しくないし、むしろ社会に混乱をもたらす可能性もあるのだ。

具体例を挙げるとインフラなどが、もっともティール化すべきで無いと言える。公的期間がアンバーな体制を取られがちなのは、それだけ公正かつ確実なサービスの提供が行われなくてはならないからである。一個人に自由と責任を背負わせるにはリスクが高すぎるのだ。

ビジネスセクターの場合でも、テスラ・モーターズティールとは真逆な組織体制で成果を残している。マイクロマネジメントという言葉がある。これは細かいアクションまでリーダーが指示したり管理していくマネジメントのことだ。イーロンマスクの場合はさらに細かいナノマネジメントをしているらしく、ここには裁量権のフラット差などない。圧倒的なリーダーの存在を存分に活かしている組織と言えるだろう。

 

組織がなしたいことを実現するために最適なのかということが大事なのだ。

 

 

 

仏教視点×ティール組織

 

組織の発展段階の考え方は真理で、長い歴史を持つ仏教とも通ずる考え方があるという小話をさせていただきたい。これはgCストーリー株式会社の西坂社長にお聞きした話である。

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上の図は、右が組織の発展段階で左が仏教における六道の段階を書いている。

ここで少し六道輪廻について説明する。仏教の目的は仏になること(成仏すること)であり、そのためには我を捨てる必要がある。仏道の修行は全て我を捨てるという目標のために行われているのだ。人は六道をずっとぐるぐる回っていて仏になることでこのスパイラルから脱却(解脱)できるという世界観である。

天~修羅までが三善道と呼ばれ、畜生〜地獄が三悪道と呼ばれる。

天道は苦しみから解放されていて、修羅道は戦いに明け暮れる。畜生は弱肉強食で、餓鬼は欲望の塊、地獄はもうドロドロ。これくらいの簡単な認識にここではとどめる。

 

自己中心的だったレッド組織から、徐々に集団・社会へと関心が広がっていくところや、力による支配から徐々に解放されて自由を手にしていく段階とどこか似ていないだろうか?

 

太古から人々は自然と幸せに生きるためのすべを探し求めていて、同じ答えに行き着いてきたのではないかと思うと少し神秘的に感じる。

 

 

ティール組織が機能する条件

ここまでティール組織について述べてきたが、実際に体制を敷いて機能しなければなんの意味もないだろう。なので次はどのようにすれば機能するのかについて書いていく。

 

最初に強みを確認する。

特徴として、階級や上下関係がなくフラットであるということ、意思決定をその場で下して課題解決に取り組めることがあげられる。

これらの特徴により、スピーディに課題を解決できることや、画期的なアイデアがフラットなディスカッションによって生まれるといった強みが想定できるだろう。

 

ここで条件がいくつか見えてくる。

  • 現場(フロントメンバー)が優秀であること
  • 現場で対峙するであろう課題の難易度が高くないこと
  • 意思決定プロセスが複雑でないこと
  • ガバナンスの縛りがきつくないこと

これらの条件を満たすことが、ティール組織を機能させる上で必要だと考える。

 

経営層や幹部は、例外ももちろんあるが優秀だからこそ登り詰めている。その人たちの力を使わずして課題を解決できると見込めるからティール組織の態勢をとれるのだ。フロントに優秀な人材がいなければ現場で即座に解決することは不可能だし、現場が優秀でも取り組む課題が難しすぎる場合はやはり上に課題を上げなくては解決できない。

 

ティール組織で業績を上げている企業例を見てみると、オランダの歯医者の例がある。歯医者の仕事を詳しく知っているわけではないが、現場で対峙する課題がとても難解だとは思わないだろう。このように、仕事の性質上ティール組織にしやすい、しにくいというものはどうしてもある。

 

意思決定プロセスが複雑な場合、結局現場で解決可能でも確認を上にしなくてはならないのでスピードは殺されてしまう。官公庁など、責任が重たく慎重さを求められる職種ではやはり難しい。個人情報の保護などの観点から現場にあまり情報を与えることができないといった理由もティール組織にできない要因につながる。情報格差こそが組織を階層化する要因だからだ。道がわからない時、道筋を知っている人についていくほかないだろう。その時自然と道筋を知っている人がリーダーとなり仕切るという構図が出来上がる。それと同じことだ。

 

 

 

日本社会への応用と障壁

 

では、日本社会はティール組織に向いているのだろうか?

 

向いていると思う点は、日本は現場力が高いということだ。教育制度がしっかりしているため、識字率はもちろん、小中学校の学力は世界でもトップクラスである。こうした点から高い現場力を有する日本社会はティール組織に向いていると言えるだろう。

 

一方で、意思決定までのプロセスが長くて現場の一存で決められないことは不向きな点と言える。年功序列な組織風土は階層化を引き起こし、現場に意思決定権をなかなか与えることはない。

 

ティール組織は共同体に近いという話をした。自由が多い分、いくつものコミュニティに属していくことが可能になると僕は想像する。

 

副業が最近認められつつあるし、もともと東洋思想は多神教で包含の意識がある。いろんなコミュニティに属していくような未来も実現していくのではないだろうか。

 

世間の目を気にしないと生きていきづらい日本社会において、世論がどちらに傾くかによってティール化の流れが進むか否かは決まりそうだ。

 

 

これからの組織と個人

 

これからは、やりたいことが見つからないと辛い時代が訪れる。しなくてはならないことはどんどんテクノロジーの進歩で機械が代替してくれるようになるからだ。

もちろんその恩恵にあやかり、何もせずにのうのうと生きるという選択肢もあるがそれだけでは満足できないのではないだろうか。

 

個人へのパワーシフトによって、徐々に個人>組織の力関係へと変わっていく。

(以下のブログを参照のこと)

jackshima.hatenablog.com

 

そんな未来において、個人の自己実現をどれだけ組織に所属していてもできるかどうかが組織が生き残るための絶対条件となるだろう。むしろ所属するからこそ自己実現ができるんだと言えなくてはならない。

 

自己実現につながる働き方がしたいという人がマジョリティになってきた時に、自然と組織は個人に自由を認める状況に追い込まれていくと僕は思う。

 

 

組織の形態は目的を達成するための方法であり、自然と個人の価値観やニーズが反映される。営業を鍛えたい、予備校で成績をあげたいという人にとってはあえてレッドみたいな強制力の求められる組織の方が需要が高いかもしれない。

だから全ての組織がティールになる未来は訪れない。

 

 

 

ティール組織=正解ではない。

盲目的に社会で良いと言われるものを取り入れるのではなく、今の自分に、組織に必要なことは何かを考えて組織構造も選択しよう。

 

 

 

 

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