玲瓏という言葉を知っていますか
玲瓏という言葉を知っているだろうか?
玲瓏
1 玉などが透き通るように美しいさま。また、玉のように輝くさま。「
玲瓏 たる山月」「八面玲瓏 」
2 玉などの触れ合って美しく鳴るさま。また、音声の澄んで響くさま。「玲瓏 たる笛の音」(コトバンク)
検索するとこのような説明が出てくる。透明感を伴う美しさを表現した言葉である。
僕はこの言葉を時々思い浮かべるようにしている。今回はこの玲瓏という言葉にまつわるストーリーを紹介したい。
羽生善治の揮毫
僕が玲瓏という言葉を知ったのは、プロ棋士の羽生善治さんがプロフェッショナルに出演していた回を見た時だった。
プロ棋士はそれぞれ揮毫(きごう)を持っている。揮毫とは筆をふるって字を書くことを意味するのだが、プロ棋士の場合はサインのように座右の銘を記すものを指す。
藤井聡太六段(現在は七段)の揮毫は専心である。一意専心という言葉は人気のある言葉で、脇目も振らず心を一つのことだけに注ぐことを意味する。
心を穏やかに保ち、周囲を見渡せるという意味だ。心に曇りがあるとパフォーマンスは下がる。羽生さんは特にNHK杯などの早指しの試合に強いイメージがある。それは周囲を見渡すことができる落ち着き故なのかもしれない。
羽生マジックと言われる想像を超える打ち手の数々は盤面を隅々まで見渡せているからこそなせる技なのだ。
心に言葉を思い浮かべる
僕は玲瓏を初対面の人とお話をする時によく思い浮かべる。特に就活などでよくあるグループディスカッションの前では必ずと言っていいほど考えている。
僕は負けず嫌いで、自己開示をすることへの抵抗が少し強い人間だ。だからこそ初対面の相手と接する時に自己防衛本能が働いたり、負けないようにしようという心理が働き熱くなりやすい。だいたいこういう時はヒートアップしすぎていてエンジンが焼け付くのと同じように空回りしがちである。
こうなりやすいことがわかっているからこそ、僕は玲瓏を思い浮かべる。
高ぶる気持ちを穏やかに、狭くなっている視野を広げてくれる。
自然と不要な競争心は消えていき、いかに良い働きをするか、貢献するかを考えられるようになるのだ。
言葉の持つ力は不思議なものだ。玲瓏は、まずその漢字の見た目がかっこいい。文字に色が付いていなくとも自然と青色を想起させる。共感覚に近い。どこか高潔さすら漂わせる気品ある字体が、僕に冷静さを取り戻させてくれるのだ。
座右の銘を持つこと
座右の銘とは生活や仕事、人生においてしっかりと心に留めておく言葉という意味である。これはVisionに似ていて、無理やり持とうとするものというよりも自分のありたい姿を想起させてくれるおまじないだと思えばいい。
名は体を表すという言葉がある。
自分がありたい姿であるために助けてくれる言葉を見つけることをお勧めする。