国志夢走

Visionを描き、自身の仕事や人生に誇りを持った人であふれ返る国をつくりたい。「みんながプロフェッショナルに出演できる」そんな社会が理想です。

【解説】U理論

U理論とはイノベーションを引き起こすため、人の内面状況に着目して出現する未来から学習するという一風変わった思考の理論の事だ。難解であり感覚的なものが多いため、自分自身が理解するためにもまとめることにする。

 

過去から学ぶのか、未来から学ぶのか

この世にはジグソーパズル型の問題とルービックキューブ型の問題という二つの問題がある。

ジグソーパズル型の問題とは、手間がかかるが時間をかけていけば必ず前進し解決可能である問題のことを指す。煩雑な問題と言える。

一方でルービックキューブ型の問題とは、理想は明確だが相互依存関係が存在し、構造を理解しない限り解決できない問題の事を指す。複雑な問題と言えるだろう。

ルービックキューブ型の問題にこそU理論が求められる。

やり方の工夫や過去からの学びを元にPDCAを回すことでは解決しづらく、howやwhatではなく行動の源となるその人自身whoの考え方などといった内面状況を変容させることで解決を目指す必要があるのだ。

 

 

U理論のステップと超えるべき壁

なぜU理論というのかというと、下の図にある通りUの字を描いて内面状況を変化させていくからである。僕も最初は何かの英語のイニシャルだと思っていたので拍子抜けしたのを覚えている。

それでは順番に説明していく。

 

 

ダウンローディング(Downloading)

過去の枠組みにとらわれて目の前の事象を歪めて捉えてしまうことだ。スタンスが悪いという状況を思い浮かべてもらえるとわかりやすいだろう。話を聞きながらオチを先読みして聞いている、次に自分が何と言おうかを考えながら話を聞いているときなどが最たるダウンローディングな状態と言えるだろう。

これでは新しい考えは生まれないことは容易に想像ができるだろう。

次の段階へと進むためには、自己判断を保留することが大事だ。これが図におけるVOJ(Voice of judgment)を意味している。どうせこんなことを言うのだろう、この人は大したことがない、そんな過去の経験に基づく評価や判断を一旦保留して聞き入れてみる姿勢が必要なのだ。

 

観る(Seeing)

VOJを抑えて目の前の事象に集中して意識を向けられている状態だ。過去の枠組みや前提を覆すデータに触れた瞬間を指す。一瞬の状況である。ここでやっと素直に思考することができるようになっている。

ここから次の段階に移るためには、過去にしてきた判断の根源となる諦念や否定的な決めつけから脱却する必要がある。これをVOC(Voice of cynicism)と呼ぶ。

 

感じ取る(Sensing)

相手の視座に立って考えることを指す。相手の立場に立って考えてみることで、その人が見ている景色や感じていることにシンクロするようなイメージだ。この辺りからかなり抽象的でわかりにくくなってくる。人の靴を履いてみる感覚に近いと著書では説明されていた。この段階でやっと心を開くことができるようになっている。

次の段階に移るには、現状打破をするために腹をくくって何かを捨てるというリスクテイクが必要だ。その恐れをVOF(Voice of fear)という。

 

プレゼンシング(Presencing)

Uの底に位置する。恐れながらも腹をくくって過去の前提や枠組みを取っ払い深淵に至る。ここを超えていくことで新たな考え、イノベーションが出るとされている。取っ払った空白に新たに感じ取ったことが入っていき、次のステージへと進んでいく。

 

結晶化(Crystallizing)

未来の最高の可能性からビジョンと意図が明らかになっていく意識の段階。過去の枠組みから解放されて価値観が変わることにより、自然と望ましい未来(ビジョン)が見えてくるのだそうだ。これが出現する未来という言葉に言い換えられている。

 

プロトタイピング(Prototyping)

結晶化までの段階は意識やイメージの話で、ここからは試行錯誤しながらアウトプットを出すプロセスである。これまでの段階の進歩を踏まえた試行錯誤である。

 

実践(performing)

毎回新鮮な気持ちで実行し続けることができる状況を指す。慣れきってしまい、無思考で実践しているとダウンローディングに戻ってしまっている。本では演歌歌手が毎回新鮮な気持ちで歌い、毎回違うように感じるという例をあげていた。

 

 

チームや組織の関係性に応用

これまでU理論の流れを紹介してきたが、いまいちどう活用すればいいのかわからないというのが正直なところではないだろうか?チームや組織に応用する例があったので紹介して締めくくる。

 

僕の所属している学生団体の合宿でよく存在するコンテンツにナイトトラックという時間がある。ナイトトラックとはチームの仲間に対して今まで活動をしてきて打ち明けられなかった本音を伝え、向き合うことでよりチームとしてレベルの高い集団になるという時間である。本音を言わず、表面的な仲の良さを保ってしまうことはよくあるだろう。そのままでもある程度の信頼関係は築けるしパフォーマンスを発揮できるかもしれないが、最高のチームにはなれない。

 

チームへの応用

  • まずは自分が達観しているという事実を自覚してダウンローディングを解除。
  • どんな風に自己正当化しようとしているか書き出すことで観る。
  • 相手の主張の具体的な背景を想像することでセンシングをする。
  • このまま変化せず時が経つとどんな結末になるか想像し、現状打破のために自分はどう一歩を踏み出すのか考えプレゼンシングする。
  • どう改善していくのかチームで施策を共創造することでプロトタイピングする。

 

このようにU理論を元に過去の思い込みを取っ払い、新たな関係性を築くことに活用できるのかもしれない。

 

個人的には、何か物事の始まりや内省をするときにダウンローディングしないことを意識することがとても有用だと思う。

ぜひ実践してみてほしい。

 

 

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