国志夢走

Visionを描き、自身の仕事や人生に誇りを持った人であふれ返る国をつくりたい。「みんながプロフェッショナルに出演できる」そんな社会が理想です。

なぜ"美意識"を鍛える必要があるのか

[目次]

 高まるアートへの関心

 学校での美術教育

 鑑賞を通した気づき

 まとめ

 

高まるアートへの関心

最近アートや美意識への関心が急速に高まっているようだ。
事実、山口周さんの世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?という本が大ヒットしており、アート×テクノロジーの作品を発表しているTeam Lab.の展示にはたくさんの人が押し寄せている。
今回はその関心の高まっている美意識やアートについて書いていく。

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学校での美術教育

最初に僕たちがアートと出会うのは学校だろう。
ちなみに僕は美術の授業がすごく嫌いだった。先生とそりが合わなかったのもあるが、何より上手く絵を描けなかった。テーマを決められて、書きたいとも思わないのに強制されることも好きではなかった。クレヨンで消防車と救急車の絵を描いて京都市消防の絵コンクールで銅賞をもらったという微妙な成功体験はあるが、成績はほとんど3だった...
なぜ、学校では美術の授業があったのだろう。
美術教育には
  1. 美術を教育する
  2. 美術を通して教育する
という2種類がある.
後者は美術という手段を通して人間形成を目指すというものだ。僕は当時は1.の側面しか見えず、絵描きになるわけではないのだから必要ないじゃないかと思っていた。
さらに分けると表現と鑑賞の2つの領域があり、学力の三要素は
  • 意欲
  • 思考力、発想力
  • 基礎的技能、知識
と定義されている。
しかし、学校での美術教育には課題が多く存在する。大半が知識偏重になり、教養として知っておくべき美術作品を覚えることなどが中心になってしまう。身近にアートが存在せず、学校と美術館の連携も効率性・公平性の観点から合理的ではないようだ。それでも身につけるべき能力だとした場合どうするのが良いんだろうか?
僕は家庭教育で担保するのが良いと思う。幼い頃から美術館やオーケストラに連れてってもらっていたらしく、よく分からないなりに楽しんでいたらしい。なんでも学校で解決することは難しいし、家族で美術館なんて粋だしいいと思う。

 

鑑賞を通した気づき

アートの関心が高まっていると言ったが、先日僕もこの流れに乗っかりアートを嗜む人になろうということで友人とTeam Labの展示と美術館へいった。そこで僕なりになぜ美意識を鍛える必要があるのかの理由を見つけることができた。
Team Lab.の作品は絵画の鑑賞というものではなく、空間全てをコーディネートしている感覚に近かった。

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波は荒々しくいかにも轟々と音を立てていそうなのに、部屋の薄暗さと穏やかなBGMによって臨場感あるのに客観視する不思議さが作り出されていた。鏡貼りの壁が反射を生み出し、客観視する感覚を強めているのだろうか?波は線を重ねることで描かれていて、スクリーンの背景は襖っぽくて和を感じさせる。室温も意図的なのか、少し肌寒かった。(キャッチ画像も参照ください。)
このように五感を研ぎ澄まして鑑賞することはそうないだろうし、これから何かを自分が伝える時に意識するとより良くなるのかもしれない。
 
大阪国立美術館では、プーシキン美術館というロシアの美術館の風景画を70点ほど展示する企画を見てきた。

 

これだけ多くの風景画を鑑賞したことはなく、一時間半ほどではあったがかなりの疲労感を覚えていた。
だが、自分なりの作品の見方や鑑賞することの価値を少し掴めたような気がした。
 
-アートから学ぶロジック
技術の進歩により、ロジックで解けるものはコモディティ化する。そのためロジックでは導けない感覚的なアートがこれから大事になってくるというのが山口周さんの主張だ。その通りだと思う。
だからといってロジックが不要なわけではなく、アートにロジックがないわけではないことも分かった。
風景画の大半が見えた景色をそのままに描いているものではないことをご存知だろうか?
本来とは違う位置に建物を配置したり、人を立たせてみたりということが頻繁にある。そこには作者の意図があるのだ。
そこをつぶさに見ていくと対象への観察力が養える。
最初は解説を読んでから作品を見ることで意図を読み解いていたが、
  • 作品を見るときに自然と誘導される視線の動き
  • 作者自体の視点(見下げている?見上げている?)
  • 建物の配置の意図
  • 歴史的背景とのつながり
などの見る際の観点や法則を見出すことができ、この作品がなぜ良いと思うかをロジックで話すことが少しだけだが話すことができるようになっていった。
 
-言語化と対話の力

鑑賞していくうちに、この作品は好きだがあれは好きではないなどの好みが出てくる。感覚的にいいと思うんだけど、なんでいいと言われると...といったことがよくあった。

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僕は上の作品が一番のお気に入りだった。

なんでだろう?言語化するのはすごく難しかった。

  • ガス灯のあかりと曇った空気の対照的な雰囲気が良い
  • もやがかかっているのに、人々はどこか元気がある。そのギャップが幻想的

これが精一杯の言語化だった。

感情を余すことなく伝えることはできていないだろう。でもこの作業を繰り返すことで自分の感情を言語化する力はつけられる。

文科省によると美術教育はコミュニケーションを大事だと書いてある。

 

対話の力とは方法や技術ではなく態度によるものが割合として大きい。

伝えたいけど伝わらないもどかしさは全て態度やスタンスの向上につながる。

美術館でおしゃべりは厳禁だが、感じたことを伝えたいという衝動に何度もかられた。退館したあとすぐに談義が起こったことから僕だけではないことがわかる。

伝えたいという気持ちを高める価値がアートにはある。

 

まとめ

  • アートは世間で今ブームとなっている
  • 美術教育は人間形成の役割を持っている
  • 日頃から物事を観察し、自分の感情を言語化する力をつけ、伝えたいというスタンスを磨くことができるから美意識を鍛える必要がある